
猫の腸内細菌叢について
ペットに最適なフードを見つけましょう。
ペットに最適なフードを見つけましょう。
ペットに最適なフードを見つけましょう。
「腸内細菌叢」というと、どんなことが思い浮かぶでしょうか。お腹の健康や便通、といった印象が一般的かもしれませんが、現時点で分かっているのは、健康全般に実に大きな影響を与え得るということです。この巨大な生態系の力は以前から知られていましたが、その本当の仕組みが理解され始めたのはごく最近のことで、おそらく今後もっと多くのことが明らかになってくるものと考えられています。腸内細菌叢の働きは消化器系だけにとどまらず、もっと幅広く多岐にわたり、全身の健康維持に重要な役割を果たしています。
腸内細菌叢とは?
細菌叢(微生物叢、マイクロバイオーム)は「特定の環境内にいる微生物の集団のこと」です。さまざまな遺伝情報を含み、さまざな物質を産生して周囲の環境に影響を与えています。微生物の大半は細菌ですが、原虫やそのほかの微生物も含まれています。身体には、腸のほかに皮膚や口にも細菌叢が存在していますが、やはり健康への影響として一番注目されているのは腸内細菌叢でしょう。
微生物のタイプによってその餌となる物質が異なるため、食事内容は腸内細菌叢の構成に大きく影響しています。そして、猫は完全肉食動物のため、その細菌叢は犬や人間とは異なる傾向があります。
猫にとって腸内細菌叢が非常に重要な理由
腸内細菌叢は人間同様に猫にとっても大切で、さらに多くの種類が混在していることが重要です。腸内細菌叢の重要な役割を紹介していきます。
猫の身体が分解することのできない食物を分解する。
腸の細胞に栄養を与え、腸の内面の健康と強さを維持する。
「悪い」細菌を寄せ付けない。
免疫系をサポートして健康に保つ。
ある種のビタミンの生成を助ける。
バランスの取れた腸内細菌叢は、猫を健康な体型に保つのにも役立ちます。そして、腸と脳の間には強いつながりがあるため、健康な腸内細菌叢は猫の気分を安定させ、精神の健康を保つのにも役立ちます!
腸内細菌叢を構成していた微生物の種類や数が大きく変化すると、さまざまなトラブルが起きやすくなります。いわゆるこれが、腸内細菌叢のバランスの崩れであり、食事の変更や抗生物質の使用、慢性的なストレスなどによって引き起こされる可能性があります。多少の変化であれば生体の本来の機能で修復できるかもしれませんが、その限度をこえてしまうとバランスの取れていた生態系が乱れ始めてしまいます。
腸内細菌叢のバランスが顕著に崩れてしまうと、本来腸内細菌叢が行っていた役割から得られていた恩恵を失うことになります。具体的には、ビタミン欠乏症、腸のダメージや炎症、感染症、食物有害反応、免疫力の低下などにつながる可能性があるということです。食物の消化が適切にできなくなる場合もあり、そうなると体重減少が起こるかもしれません。
腸内細菌叢のバランスを保つためにできること
腸内細菌叢の重要な役割と食事との関連性について、ご理解いただけたでしょうか。これを踏まえたうえで、猫の食事についてあらためて考えてみましょう。猫の腸内細菌叢に配慮したキャットフードは、腸内細菌を活性化しその役割を最大限にするために必要な栄養をバランスよく含んでいます。獣医師に相談してみてください。
獣医師の特別な指示が無い限り、抗菌剤を猫に与えることは避けましょう。動物も人間でも抗菌剤に対する耐性が問題となっています。さらにいえば抗菌剤に関わらず、猫への投薬については必ず獣医師に確認してください。
家庭での猫の生活環境についても、再度見直してみましょう。猫は繊細な動物で、のんびりしているように見えても、実はイライラしているかもしれません。同居している動物との関係や、トイレの環境、リラックスできる個別の環境があるか、などちょっとした工夫で今までよりも猫がハッピーに感じられる環境を準備することができます。
たとえ、腸内細菌叢のバランスが崩れてしまっても、配慮されたキャットフードや、プレバイオティクスやプロバイオティクスとよばれるサプリメントなどで健康なバランスに整えていくことができます。プレバイオティクスは消化されずに大腸に到達し腸内細菌の餌になる食品のことで、プロバイオティクスは健康的な腸内細菌叢の形成に役立つ生きた微生物のことです。獣医師に尋ねてみてください。
愛すべき猫たちのためにできるだけのことをしてあげたい、という飼い主さんの気持ちは十分理解していますが、猫は犬とも人間とも異なり、食事をはじめさまざまなことに対して注意が必要です。わからないことがあれば、必ず獣医師に確認してくださいね。
監修:ハイン・マイヤー博士(DVM、PhD、Dipl-ECVIM-CA)