猫が震えている?考えられる原因とは

執筆: ラシ・シャイブル獣医師
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猫を飼っていると、人間からしたら不思議な感じに見える仕草を目にすることも多いでしょう。とはいっても、震えとなると猫は犬ほど明らかに震えることは少なく、あまり頻繁に目にすることはないかもしれません。そんな中で、手足がピクピクしていたり、うずくまって震えているのに気づいたときに、考えられる原因について解説します。

猫の震えの原因

猫の震えは年齢や品種に関係なくときどき認められることがあります。人間は寒いときに震えることがよくありますが、メルク獣医マニュアル*¹ によると、猫では必ずしも体温の低下が震えの原因とは限らないようです。寒い時に体を震わせることはあるかもしれませんが、多くは室内で飼育されていると思いますので、状況的に他の原因を探ったほうがいいかもしれません。ただし、子猫の場合には体温調節が十分にできないので、室内でもさらに暖かい環境を準備する必要があります。

茶色と白のトラ猫の子猫が猫のベッドに隠れています恐怖・怯え

猫の震えは、何かに怯えているときによく見られます。一般的に猫は安定を好み、日常の習慣に変化があったときに不安を感じるようです。そのためか、動物病院や車での移動中に猫が震えるのを経験したことのある飼い主さんも多いかもしれませんね。不安を感じている猫は、隠れようとしたり、尻尾を巻いて体を丸めたような仕草をとることが多くあります。このようなサインを示している猫に近づくときには十分注意しましょう。シャーッと威嚇したり耳が寝ているときは、さらに不安や緊張が高まっているサインのため、近づかずにそっとしておいてあげてください。

痛み

Pet Health Network*² によると、痛みも猫の震えの原因としてよくあるもののひとつです。猫は、一般的に少し気ままで繊細な動物として知られていますが、一方で、実は痛みがかなり重度になるまでそのような症状を示さないのです。痛みがある場合、自身の身を守るために飼い主にさえも攻撃的になることがあります。そのため、ご自身で痛みの原因を特定しようとすることはお勧めできません。震えを含め、普段と様子が異なるときには、早めに動物病院を受診してください。とくに猫が開口呼吸を始めたり、動こうとしなかったり、骨折や大けがに気付いた場合は緊急事態ですので、すぐに動物病院を受診してください。

このような理由以外にも、猫にとって不快と感じるものであれば、震えを起こす可能性があります。いずれにしてもいつもと異なる様子に気づいたら、獣医師に相談してくださいね。

猫の震え:動物病院に連れて行くべきタイミングとは

猫は進化の過程で、外敵から身を守るためにけがや病気のサインを隠すようになりました。そのため、猫を病院に連れて行くべきか迷ってしまうこともあると思います。基本的に気になることがあれば、動物病院に問い合わせるのが安心ですが、判断の目安として、震えと同時に次のような症状が見られたら、様子を見ることはせずに動物病院に行きましょう。

眠っている猫のポートレート

  • 食事量や飲水量の変化
  • 不適切な場所での排尿や排尿時のいきみ
  • 口臭や過剰なよだれ
  • 体重の増加または低下
  • 異常に活発になった、または、元気がない
  • 毛づくろいのパターンの変化
  • 睡眠パターンの変化
  • 態度の変化
  • 隠れることが多くなった(新しい環境で隠れることは除く)
  • 鳴き方の変化

また、一般的に震えと呼ばれる程度のケースと、明らかに異常と思えるような激しい震えとでは疑われる内容も異なってきます。コントロールできないほどの震えや制御不能な筋肉の動き、便失禁や尿失禁、過度の流涎、周囲に対する意識の喪失などは、けいれん発作である可能性があります。けいれん発作は、脳神経学的な原因と脳以外(代謝性や中毒性等)の原因と分けられます。このような場合は救急での診療が必要です。

猫の震え:診断と治療

動物病院では、動物の状態を確認した上で、必要な検査をします。一般的には血液検査や血清生化学検査、尿検査等ですが、必要に応じその他の検査が行われます。メルク獣医マニュアル*³ によると、猫は血中カルシウム濃度の上昇によって震えを起こすことがあり、腎臓病や副腎疾患、副甲状腺(上皮小体)疾患、食事性、毒性のある植物の摂取との関連が報告されています。各検査の結果に基づいて病態を確認し、それに合わせて必要な治療が行われます。

猫の震えということで相談されるケースの多くは、けいれん発作のような重篤なものではありません。恐怖や不安によるもの、あるいは軽度の疼痛といった内容が多く、その原因が解消されることで震えも止まります。一方で、何らかの病的な原因がある場合にはその原因に応じた治療が必要になり、その予後はさまざまです。いずれにしても、普段の様子と異なるときには、何らかのSOSである可能性もあるため、かかりつけの獣医師に相談するようにしてくださいね。
 

参照先:
*1 https://www.merckvetmanual.com/special-pet-topics/emergencies/emergency-care-for-dogs-and-cats?query=shivering%20animals
*2 https://www.pethealthnetwork.com/dog-health/dog-diseases-conditions-a-z/it-emergency-shivering-lethargy-and-more
*3 https://www.merckvetmanual.com/endocrine-system/the-parathyroid-glands-and-disorders-of-calcium-metabolism/hypercalcemia-in-dogs-and-cats?query=shivering%20cat
 

Contributor Bio

Dr. Laci Schaible

ラシ・シャイブル獣医師

小動物獣医師で・実業家・作家・講演者の顔も持っています。テキサスA&M大学獣医学部とウェイク・フォレスト大学法学院を卒業後、獣医業界の発展に情熱をそそぎ、数多くの役員会や委員会に顧問として貢献しています。