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狂犬病ときくと、とにかく怖い、という印象をもつことがほとんどでしょう。そのイメージ通り、狂犬病は人を含むすべての哺乳類が感染する可能性があり、犬や猫の飼い主さんであればなおさらよく知っておいていただきたい感染症です。そして、都市部に住んでいるからといって決して知らなくてよいというものではありません。CDC〈アメリカ疾病予防管理センター〉によると、狂犬病ウイルスは毎年約6万人の命を奪う致死性のウイルスです。米国獣医師会では、米国で飼育されている動物の中で狂犬病と診断される頻度が最も高いのは猫であるため、猫は狂犬病に関するリスクと無関係であるとは到底いえない、と説明しています。このような状況になってしまったのは、おそらく犬に比べて猫では狂犬病ワクチン接種に関する各地域の法律が緩いことが原因でしょう。
狂犬病ウイルスはコウモリやスカンク、キツネ、アライグマなどの野生動物が主な感染源となっています。犬への狂犬病ワクチン接種の普及が進んでいない地域ではこういった動物から犬に感染し、犬から人間に感染するケースが大半です。
狂犬病ウイルスは感染動物の唾液に含まれ、その動物に咬まれることで感染します。あるいは傷口や粘膜面を舐められることからも感染する可能性もあります。

犬と同様に狂犬病にかかった動物に咬まれることで感染します。人間への感染の多くは犬からですが、野生動物から感染するケースもあります。
CDCによると、米国では毎年3~6万人がばく露後の治療を受けます。発症した場合の致死率はほぼ100%ですが、感染の可能性がある場合、発症前にできるだけ早く治療することによって発症を抑えられる可能性があります。思い当たる状況がある場合には、医療機関に相談してください。
狂犬病の予防は、狂犬病ワクチンを接種することです。感染の高い可能性のある動物を取り扱う方、あるいは感染するリスクが高いケースの場合、医療機関に相談してください。
発症すると、暗いところを怖がる、情緒不安定など、さまざまな気性の変化が現れます。厳密な診断基準があるわけでは無いですが、突然犬の性格が変化した場合、狂犬病も可能性のひとつとなります。
こうした前駆期の後、以下の2種類の病型が認められます。
狂犬病は別名恐水症と呼ばれますが、これは水を飲もうとすると喉がけいれんし苦しいため、水を極度に怖がるようになるためです。
子犬は生後1年間、ワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成犬は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢犬や特別なケアが必要な犬は、より頻繁な検診が必要になる場合があります。
ウイルスが体内に侵入すると増殖し、その後中枢神経系を侵すようになります。人間の場合の潜伏期間は数日から6カ月以上と様々で、平均1~3か月程度です。犬でも2週間から数か月で、平均1か月程度です。発症後は1~2週間以内に死亡します。
犬で狂犬病の徴候が発現するまでの期間は、このウイルス対しての免疫(過去のワクチン接種[たとえだいぶ前のものであっても]または母親から移行した免疫)が存在するかどうか、および咬傷そのもの状況によって変わります。一般的に、重度かつ広範な咬傷の場合、感染から臨床徴候までの期間が短くなります。

残念ながら、狂犬病の犬に対する治療法はありません。法律に従って、獣医師は各地域・州の動物疾患の規制当局に報告しなければなりません。犬が以前にワクチン接種歴がある場合、獣医師は狂犬病ワクチンの速やかな追加接種を勧めることがあります。
狂犬病に対して適切な対策を講じていたとしても、感染した動物と接触してしまう可能性はゼロではありません。狂犬病ウイルスに感染した動物は、異常な徴候を示す前からウイルスを排泄しています。もしウイルスが動物の神経系に侵入する前に狂犬病ワクチンを接種できれば、非常に安全かつ有効です。ペットへのワクチン接種が極めて重要であることを忘れないでください。
狂犬病は予防できる病気です。もし愛犬が狂犬病のワクチンを接種していなければ、必ず接種するようにしてくださいね。
レイシー・シャイブル博士は、小動物獣医師、獣医ジャーナリスト、そして業界の思想的リーダーです。テキサスA&M大学で獣医学博士号、ウェイクフォレスト大学で法学修士号を取得しています。
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