猫のストレスの兆候と飼い主ができるサポート

猫のストレスの兆候

猫のストレスの兆候には以下のようなものがあります。

• 震える
• 引きこもる
• 隠れる
• 活動レベルの変化（活発になったり、無気力になったりする)
• 逃げようとする
• 過剰な引っかきや噛みつき
• 攻撃的な行動やボディランゲージ（シャーと言う、瞳孔が拡張する、耳を横に倒す、毛を逆立てる、尻尾を丸める）
• 下痢
• トイレを使わなくなる
• 食欲の変化
• 過剰なグルーミング（皮膚のただれや、部分的な抜け毛につながる）

猫のストレスの原因

ストレスと猫の健康は関連しています。猫のストレスの兆候は、身体的および行動的なさまざまな原因から生じている可能性があります。

痛み

猫のストレスは、怪我や慢性疾患などの痛みが原因で生じることがよくあります。例えば、関節炎を発症した高齢の猫は、全身に不快感を抱くことがあります。その結果、運動機能が低下し、しゃがんだり、自分で毛づくろいをしたりすることが難しくなり、トイレ以外での粗相や身だしなみの乱れにつながります。また、痛みを感じている猫は、隠れたり、触られるのを嫌がったりしがちです。

病気

発熱や便秘、腎臓機能の低下まで、さまざまな症状が猫の体調不良を引き起こし、ストレスレベルを高めることがあります。ご家庭で複数の猫を飼っている場合、病気は猫同士の関係に影響を与えることがあります。1頭の猫が病気になると、他の猫のストレスも増す可能性があります。

社会化が不十分

適切に社会化されていない子猫は、他のペットや人間の家族など、新しい環境に恐怖を感じることがあります。子猫の時期に迎え入れていない場合、子猫時代の特定の経験（人間の子供や犬との接触など）がネガティブな記憶となり、ストレス行動を引き起こす可能性があります。

認知の変化

シニア期になると、記憶障害など、認知機能の変化が現れる猫もいます。脳内の化学的変化によって、過剰で反復的な鳴き声、過剰なグルーミング、布など食べられないものを食べたり噛んだり吸ったりする行為、尻尾を攻撃するなどの自傷行為といった脅迫的な行動が引き起こされることがあります。シャム、ビルマ、アビシニアンなどの特定の猫種は、これらの行動を示すリスクが高い傾向があります。

感覚能力の低下

高齢になるにつれて、聴覚、視覚、嗅覚が衰えます。これにより、周囲との関わり方に影響が出ることがあります。視力や聴力が低下した猫は驚きやすくなり、それがストレスにつながることがあります。

環境の変化

ご家庭内での家具の配置換えや新しい家族が増える場合など、いつもの環境が変化すると、猫にとってストレスとなることがあります。高齢の猫は、時間の経過とともに新しい状況への適応力が低下するため、家庭環境の変化に特に敏感になりがち。トイレや爪とぎなどの設備の不足、汚れたトイレ、充実していない環境などもストレスの原因となります。

分離不安

一頭で留守番をさせられるとストレスを感じる猫もいます。これは特に、里子に出されたり、捨てられたりした経験のある猫に多く見られます。

ストレスを抱えた猫の対処法

猫の好ましくない行動に対して、罰を与えたり叱ったりしてはいけません。それは恐怖心を増幅させ、状況を悪化させるだけです。ここでは、ストレス要因を最小限に抑え、猫が快適な状態を取り戻すために役立ついくつかの方法をご紹介します。

獣医師に相談する

猫にストレスの兆候が見られたら、獣医師の診察を受けて、潜在的な健康問題を特定、対処してもらいましょう。ストレスを軽減する薬を勧められることもあります。また、猫のライフステージに合った完全でバランスのとれたフードを選び、成長に必要な栄養素を確実に摂取できるようアドバイスを受けることもできます。

動物行動学者のサポートを受ける

診断結果によっては、獣医師が動物行動学の専門家を紹介することもあります。行動学の専門家は、ストレスを引き起こしている原因を特定し、それを取り除くことで望ましくない行動を減らす手助けをしてくれます。また、減感作療法や反対条件付けを用いて、ストレスの原因となるものに安全に繰り返し触れさせて慣れるようにしたり、ポジティブに反応できるよう手助けしたりすることもあります。

環境を充実させる

環境を充実させることで、猫の感情的・身体的な健康をサポートし、安心してリラックスできるようにします。簡単な方法をいくつかご紹介します。

展望台を設置する

キャットタワーやキャットウォーク、棚を設置すると、猫は危険を感じるものから離れてリラックスできます。鳥や小動物を眺められるよう、窓際に置いてあげましょう。

感覚を刺激する

窓のそばにエサ入れや水場を設置してみましょう。猫がカサカサと音を楽しんだり匂いを嗅いだりできるように、葉っぱを入れた箱を室内に置くのもお勧めです。また、猫草を育てて、新鮮な草をかじる楽しみを与えてあげましょう。

隠れ家を提供する

箱やトンネルなどの隠れ家は、猫に安心感を与え、騒がしい環境から逃れられる静かな場所を提供します。

複数の引っかき場所を用意する

猫は引っかくことで、安全を示すフェロモンでマーキングし、ストレスを和らげます。お近くのペットショップで購入するか、ご自宅でDIYをしてみましょう。

複数のトイレスポットを設置する

トイレを共有することは、多くの猫にとってストレスになります。それぞれの猫にトイレを1つずつ与え、それとは別にもう1つ用意しておきます（1頭の場合は計2つ、2頭の場合は計3つ）。いつでも簡単に使えるように、別々の部屋に設置しましょう。

トイレを清潔に保つ

トイレは少なくとも1日に1～2回掃除しましょう。

食事とトイレの場所を分ける

食事の場所のすぐ近くにトイレがあると、猫がトイレを使わなくなることがあります。

食べ物の宝探しゲームを作る

家のあちこちに、おやつやいつものフードを入れた フードパズルを置いて、退屈を和らげるとともに、猫本来の狩猟本能を刺激しましょう（健康的な体を維持するために、1日の摂取カロリーを考慮してください）。

穏やかに暮らせるようにサポートする

慢性的なストレスは、猫の健康に生理的影響を及ぼす可能性があります。必要なケアを行うことは、猫にとって最善であるだけでなく、家庭の平穏を保つことにもつながります。愛情と忍耐、そして獣医師の助けがあれば、健康で幸せな状態を取り戻すことができるでしょう。