猫の適正体重とは?

執筆: エマ・ミルン獣医師(BVSC、FRCVS)
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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適度に引き締まった体型を維持することは、人でも動物でも寿命を延ばし、健康面で多くの利点があります。とはいっても、飼い主さんの多くは、愛猫の理想体重、あるいは健康的な体重が実際どれくらいなのか、疑問に感じているかもしれませんね。体重は元々の骨格や品種、年齢などによって変わってきてしまうので、健康的な体型を体重だけで判断することはできません。重要なのは、猫の体重そのものではなく、体重とあわせてボディコンディションスコア(BCS)と呼ばれる指標をモニタリングすることなのです。

ボディコンディションスコア(BCS)

猫は犬ほど体格のバリエーションの差はありませんが、それでもいくらかの違いは認められます。「平均的な」猫の体重は4キロ程度、と聞いたことがあるかもしれませんが、最近はばらつきも大きくなっています。猫によっては4キロで肥満とされることがある一方で、たとえばメインクーンの成猫などでは4キロでは低体重と見なされます。

猫が健康的な体重かどうかは、そのボディコンディションスコアを見て判断するのがベストです。BCSは主に脂肪のつき具合を視覚的に表したもので、使用する尺度によって5段階または9段階で評価されます。5段階の場合、以下のような1から5までの尺度を使用します。 

  • 5は肥満。厚い脂肪層のために肋骨に触れることが非常に難しい。膝などの骨張った部分が中程度から厚い脂肪層に覆われている。

  • 4は過体重。厚い脂肪層があって、触っても肋骨や骨張った部分が分かりにくい。

  • 3は理想的。肋骨の上にわずかな脂肪層があるが、触ると容易に肋骨が分かる。骨の突起の上にもわずかな脂肪層がある。

  • 2は体重不足。肋骨の上にほとんど脂肪が乗っておらず、触らなくても目で見て肋骨が分かる。

  • 1は削痩。肋骨の周りに脂肪がまったくなく、目で見て肋骨が分かる。骨の突起も外から見えて、脂肪の存在は触っても分からない。

獣医師に愛猫のBCSを確認してもらい、現在の体重が適正かどうか判断してもらいましょう。BCSの評価は、飼い主さんでも慣れればポイントの部分を触ってチェックすることで判定できるようになります。

体重のモニタリングは重要

BCSと同じく体重をモニタリングすることは、生涯にわたって重要です。体重の増加と減少は、どちらも病気の徴候である可能性があり、何らかの健康トラブルに気づける最初のきっかけになることもあります。  

子猫を迎えたときは、順調に発育しているかのチェックとして、2~3週間ごとに体重測定を実施します。体重は明確な数値であるため、獣医師とも情報共有しやすく、獣医師にとっても状況が把握しやすくなります。その後は猫の生涯にわたって体重を毎月チェックすることで、何かあっても早い段階で気付くことができ、早期に治療を開始することができます。

体重は、とくに避妊・去勢後や加齢に伴って増加しやすくなります。少しずつ増えていくパターンが多いため、定期的に体重を測っていないと、意外と気づきにくいものです。当然ながら、増えてしまった体重を減らすよりも増やさないようにする方がはるかに簡単なので、体重は定期的にきちんとチェックしながら、必要に応じてキャットフードの種類や量を検討する必要があります。

一方、体重の減少は、腎臓病や心臓病、がん、糖尿病などの健康トラブルの重要な前ぶれである可能性があります。病気によっては猫が臨床症状を示すまでにかなり進行しているケースもあるため、そういった状況よりも前に体重減少を早期に発見して適切な治療を開始することは、大きな意味があると言えるでしょう。

個々の猫によって適正体重が異なり、BCSと体重の両方を指標にしていく必要があることをご理解いただけたでしょうか。愛猫のBCSと適正体重について獣医師に確認してもらい、それを維持するために必要なことを実践してください。猫とともにいつまでもハツラツと元気に過ごしていきましょう!

監修:ハイン・マイヤー博士(DVM、PhD、Dipl-ECVIM-CA)