
猫の便秘は、排便回数が減ったり、乾いて出にくい硬い便になったりすることを指します。
便秘が続くと、便が腸内に長く残ってさらに硬くなるという悪循環を生むことも多いため、排便時に痛そうにしている姿を見て、なんとかしてあげたいと思っている方も多いでしょう。
この記事では、猫の便秘の原因、家庭でできる対処法、動物病院を受診する目安などについて解説します。受診すべきかどうかの判断の目安や、確認したいポイントも解説しています。
以下のような症状が見られる場合は、様子をよく確認し、動物病院で受診しましょう。
猫の便秘とは、排便回数が減り、乾いて硬くなった便が腸内に残って出にくくなった状態です。
排便の回数には個体差があるため、「何日排便がないと便秘」という明確な基準はありませんが、「いつもより便が少ない」「便が小さく硬い」「トイレに長くいるのに便が出ない」といった変化が見られる場合は便秘の可能性があります。便は腸内に長く残るほど水分が失われ、さらに硬くなって出にくくなることも少なくありません。
猫が便秘になると、排便時に強くいきんだり、鳴いたり、トイレを何度も出入りしたりといった様子が見られることがあります。悪化すると、食欲が落ち、元気がなくなり、嘔吐することもあるので注意して観察するようにしましょう。
便秘が長く続くと、脱水症状が表れたり、痩せてしまったりと全身状態が悪化することもあるので、「たかが便秘」と安易に放置せず早めに対処することが重要です。
猫の便秘の主な原因には、水分不足、食物繊維の不足、毛玉の飲み込み、運動不足、病気などがあります。どれに当てはまるかを自己判断することは難しいですが、まずは考えられる代表的な原因について詳しく見ていきましょう。
水分不足は、猫の便秘でよくある原因の一つです。便が乾いて硬くなり、排便時に強くいきむ様子を見たことがある方も多いでしょう。
猫は砂漠で生活していた祖先をもち、少ない水分で生きられる動物のため、もともと水をあまり飲まない傾向があります。特に、食事がドライフード中心の場合は食事からとる水分量が少なくなるため、水分不足から便秘になることも少なくありません。
水分不足が原因の場合は、食事から水分を摂れるウェットフードを取り入れるのも一つの方法です。また、多頭飼育の場合は飲みたいときに水を飲めていない可能性があるので、水飲み場を複数用意し、猫が落ち着いて飲める環境を整えてあげましょう。
食物繊維の量や種類が合っていないために便秘になることもあります。食物繊維が不足すると便の量や硬さが変わるため、排便しにくくなることがあります。
ただし、だからといってただ繊維の量だけを増やせばよいというものではありません。量だけ増やしても、そもそも成分が体に合わない場合もあるので、猫の年齢、体重、活動量、持病、便の状態にあわせてフードを調整してあげることが大切です。
便秘がなかなか解消されないときは、動物病院で受診し、適した量の適したフードを与えるようにしましょう。
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毛づくろい(グルーミング)で飲み込んだ被毛が消化管に残ると、便秘の原因になることがあります。
猫は起きている時間の約30〜40%を毛づくろいに費やしています。飲み込んだ被毛を吐き出す姿はよく見られるため、「毛づくろいが原因なら、吐けば問題ないだろう」と考える方もいるかもしれませんが、完全には排出されず、腸にとどまって便秘の原因となることがあります。特に長毛の猫や換毛期の猫、毛づくろいが多い猫は、予想以上に多くの毛玉を飲み込んでいることがあるので注意しましょう。
被毛が出てきているように見えても、嘔吐が増える、食欲が落ちる、便が出ない、何度もいきむといった変化がある場合は、毛玉の蓄積による便秘の可能性が考えられます。こまめなブラッシングによって飲み込む毛の量を減らすようにすれば、毛玉の蓄積による便秘予防の助けになるでしょう。
運動量が少ないと、腸の動きが鈍くなり、排便しにくくなることがあります。
運動は、腸の動きを刺激して排便を促すのに効果的です。飼っている猫があまり運動しないようなら、日常生活の中に短い遊びの時間を取り入れ、運動を促すとよいでしょう。
特に太った猫の場合は、運動不足によって内臓脂肪が増えている可能性もあるので、健康管理の面でも運動を取り入れることはおすすめです。
便秘が長く続き、嘔吐や食欲低下が見られる場合は、病気や痛みが関係していることがあります。
骨盤骨折などのけが、関節のこわばり、腫瘍、神経の問題、腎臓病などの消化管以外の病気が便秘に関係することもあるので、思い当たることがあれば早めに動物病院で受診しましょう。
一見、便秘のように見えても、胃や腸の炎症などの疾患が隠れている場合もあります。以下の記事では、動物病院で相談する目安などについて解説しています。
▶︎ 猫の大腸炎
https://www.hills.co.jp/cat-care/healthcare/colitis-in-cats
▶︎ 猫の胃腸炎
https://www.hills.co.jp/cat-care/healthcare/gastroenteritis-in-cats
子猫は消化器官がまだ未発達なため、母乳やミルクから離乳食・ドライフードへ切り替えるタイミングで腸内環境が変化し、一時的に便秘になることが少なくありません。
また、新しい飼い主さんの元へ引き取られるといった環境の変化(ストレス)も原因になります。小さな体にとって2日以上の便秘は体力を激しく消耗させ、急激な脱水に繋がる恐れがあるため、早めの対処が必要です。
7歳を過ぎた高齢猫は、加齢によって筋力や腸の蠕動(ぜんどう)運動が衰えることで、慢性的な便秘に陥りやすくなります。
さらに高齢猫の便秘の背景には、慢性腎臓病による慢性的な脱水や、巨大結腸症、腫瘍などの病気が隠れているケースも珍しくありません。
関節炎などの痛みによってトイレでいきむ姿勢が辛くなり、排便を我慢してしまうことで便がさらに硬くなるという高齢猫特有の悪循環もみられます。
また、便秘だけでなく下痢の症状も伴う場合の具体的な原因やケアについては、以下の記事で解説しています。
▶︎ 猫の下痢の原因と対処法
https://www.hills.co.jp/cat-care/healthcare/cat-diarrhea-causes-and-treatment
猫が便秘になったときは、水分、食事、トイレ環境、運動の見直しをしましょう。
水分を十分にとれる環境を整える:新鮮な水を複数の場所に置き、猫が落ち着いて飲めるようにします。多頭飼育の場合は、猫の数よりも1つ多い水飲みボウルを用意しましょう。
ウェットフードを取り入れる:水をあまり飲まない猫の場合は、ウェットフードを取り入れると食事から水分を摂れるようになります。動物病院で受診しながら、少しずつ取り入れてみてください。
トイレを使いやすくする:猫はきれい好きなので、トイレが汚れている、場所が落ち着かない、段差が高い、同居猫に邪魔されるといったことがあると、トイレに行くのを我慢することがあります。また、高齢猫や関節に痛みがある場合は、段差を減らすなどの工夫をしましょう。
軽い運動を促す:運動量が少ない場合は、無理のない範囲で日常生活に運動を取り入れて、少し体を動かす回数を増やすのも有効です。
また、自己判断で人間用の便秘薬や浣腸を使ったり、強くマッサージしたりすることは控えてください。軽いマッサージをしてあげている家庭もあると思いますが、猫が嫌がらない範囲にとどめるようにしましょう。
子猫は生後1年以内にワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成猫は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢猫や特別なケアが必要な猫はより頻繁な検診が必要になる場合があります。
猫の便秘で、48時間以上排便がない、何度もいきむのに便が出ない、嘔吐や食欲低下があるといった様子が見られる場合は、動物病院を受診しましょう。
どうすべきかどうか迷ったら、念のため受診すると安心です。
猫の便秘の緊急度判定
| 猫の様子 | 緊急度 | 対応 |
|---|---|---|
| 48時間以上、排便がない | 早めに相談 | 便の硬さ、食欲、元気、嘔吐の有無を記録し、動物病院で受診します。 |
| トイレで何度もいきむが、便が出ない | すぐ受診 | 便秘だけでなく、尿が出ていない状態と見分けがつかない場合があります。尿が出ていない場合は危険です。 |
| 排便時に鳴く、痛そうにする | すぐ受診 | 便が硬い、痛みがある、骨盤や関節の問題が関係している可能性があります。繰り返す場合は診察を受けます。 |
| 食欲が落ちている | すぐ受診 | 脱水や便秘以外の病気が隠れている場合があります。便の状態だけで判断せず、受診します。 |
| 嘔吐がある | すぐ受診 | 消化管の異常や全身状態の悪化が関係することがあります。 |
| 元気がない | すぐ受診 | 猫は不調を隠すことがあるため、元気がないというのは体調悪化の判断材料になります。 |
| お腹が張っている、触ると嫌がる | すぐ受診 | 腸内に便がたまっている、痛みがあるなどの可能性があります。お腹を押したり無理にマッサージしたりせず、診察を受けましょう。 |
| 子猫、高齢猫、持病のある猫で排便の変化がある | すぐ受診 | 体調が変化しやすく、脱水や病気の影響を受ける場合があります。早めに獣医師へ相談します。 |
便秘が慢性化すると、腸の働きが低下し、さらに出にくくなるという悪循環を引き起こす場合があります。「たかが便秘」と放置せず、早めに動物病院に相談しましょう。
猫の便秘予防で有効なのは、便秘になってから水分や運動を見直すのではなく、排便の変化を早く見つけ、慢性化させないようにすることです。
普段の便の大きさ、硬さ、回数、トイレにいる時間を知っておくと、便が小さく硬くなった段階ですぐに変化に気づき、早期に対処できるようになるでしょう。
普段の様子として確認しておきたいのは、以下の7つのポイントです。
便の状態:便の大きさ、硬さ、乾き具合を常にチェックするようにしましょう。普段の様子を把握しておけば、変化にすぐに気づけるようになります。
排便回数:何日排便がないかだけでなく、普段と比べて回数が減っていないかを確認します。
水を飲む量:水分不足は便が硬くなる原因になります。水を飲む量が減っていないか、反対に急に増えていないかを見ます。高齢猫では、飲水量や尿の量の変化が腎臓病などと関係する場合があるので、あわせて注意しておきましょう。
食事量と変化:フードを変えたあとに便が硬くなった、便の量が減った、嘔吐が増えたなどの変化がないかを見ます。
毛づくろいの増える時期:換毛期や長毛の猫では、飲み込んだ被毛が便秘に関係することがあります。毛玉を吐く回数、便に混じる毛、食欲の変化をあわせてチェックするようにしましょう。
(高齢猫の場合)トイレへの動線:高齢猫では、関節のこわばりや痛みで排便姿勢をとりにくくなる場合があります。トイレまでの動線、段差、床の滑りやすさ、トイレに入るときの様子を観察すると、変化にいち早く気づけます。
体重の変化:体重が増えている場合は、運動量が減り、腸の動きに影響している可能性があります。また、便秘とあわせて体重が減っている場合は、食欲低下や脱水、消化管以外の病気の兆候の可能性もあります。
トイレ環境の整備や、愛猫の体質に合わせた日頃のフード選びなどを心がけましょう。お腹が弱い愛猫の普段のケアについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
▶︎ 猫の敏感なお腹のケア
https://www.hills.co.jp/cat-care/healthcare/cat-sensitive-stomach
猫の便秘で多い疑問は、何日排便がなければ便秘と考えるか、家庭でどこまで対処してよいかです。判断に迷ったら、以下のFAQを参考にしてください。
**Q1: 猫が何日うんちをしなかったら便秘ですか?
**A: 一般的に 48 時間(2 日)以上排便がない場合は便秘の可能性があります。3 日以上続く場合、排便時にいきむ・鳴く場合は動物病院で受診してください。
**Q2: 猫の便秘に家庭でできる対処法はありますか?
**A: 水分摂取量を増やす(ウェットフードの併用、水飲み場の増設)、食物繊維を含むフードへの切り替え、適度な運動の促進が効果的です。ただし人間用の便秘薬は絶対に与えないでください。
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猫の食性を理解して、理想的な食事回数を覚えておきましょう。また自動給餌器を利用する方法についても解説します。
ウェットフードは一般的に猫が好み、味にうるさい猫にはぴったりな選択肢になります。ウェットフードの利点や与え方について確認しておきましょう。
胃腸の弱い猫について、深掘りしていきます。このようなケースでの食事の役割について学びましょう。
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