犬を新しく迎えるときに準備するものといえば、まずはドッグフードでしょう。とはいっても、ドッグフードなら何でもいいわけではないですし、与え方にもポイントがあります。犬を初めて飼う方の中には、犬がゴミ箱をイタズラしている動画などを見たことがあったりして、"犬は何を食べても平気"と無意識に思っている方もいるかもしれませんが、実は犬の胃腸は意外に繊細で、急に食べ物が変わるとお腹をこわしたりすることもよくあります。新しい家族となった愛犬の食事の切り替えをスムーズに行うためのステップをご紹介します。

食べ慣れているフードから始める

今まで与えていたフードの種類・量・回数など、できるだけ詳しい情報をブリーダーやシェルター、前の飼い主さんなどから教えてもらいましょう。最初の1週間分程度のフードを分けてもらうようにお願いしたり、それまで食べていたフードをあらかじめ準備しておきます。

食事は徐々に切り替える

もともと犬を飼っていて使い慣れているドッグフードがある場合や、犬を飼ったら与えてみたいと思っているドッグフードがある、という場合もあることでしょう。このような場合には、すぐにでも切り替えたくなる気持ちもわかりますが、今は我慢しましょう。 急に食べ物が変わることで嘔吐や下痢などの胃腸トラブルを起こすことがあります。ただでさえ新しい環境で緊張する状況に加えて、さらに体調を崩すことはダメージも大きいですし、「新しい環境や食事」と「犬にとって不快なもの」が結び付くような条件付けは、できるだけ避けたいものです。

それでは、どれくらいの期間をかけてゆっくり切り替えればいいのでしょうか? ヒルズでは、毎日新しいものを少しずつ増やし、以前のものを少しずつ減らして、だいたい7日ほどで切り替える ことを勧めています。下に示すプランがお勧めです:

  • 1~2日目: 新しいものを25%と、以前のものを75%混ぜる。
  • 3~4日目: 新しいものを50%と、以前のものを50%混ぜる。
  • 5~6日目: 新しいものを75%と、以前のものを25%混ぜる。
  • 7日目: 全量新しいものを与える。

犬の様子をよく観察する

新しいフードを混ぜ始めたら、体調に変化がないかをよく観察しましょう。胃腸の不調を示すサインがあるかないかはもちろんのこと、便の性状にも注意します。水っぽい便や異常に柔らかい便、また、それ以外にも胃腸の不調を示すサインが見られたら、新しいフードの混ぜる量を減らして切り替えのプロセスをスローダウンさせます。フードの量の調節を行っても改善しない場合には、動物病院を受診してください(子犬の場合には、体調変化があったらすぐに受診しましょう)。

新しいフードが合わない?

慎重に切り替えを進めても、なんとなく軟便が続くなどの症状がある場合には、前の食事に戻し、胃腸を休ませ様子を観察します。軟便や下痢になってしまうときに犬が口にした食べ物の内容を記録しておき、獣医師に相談しましょう。犬も特定の原材料や成分に対して、アレルギーなど体質に合わないということもあります。

水分補給を忘れずに

健康維持のために、体の水和状態を保つことはとても重要です。飲みたいと思った時にすぐに水分補給できるように準備しておきましょう。食事の切り替えという点でいうと、ドライフードとウェットフードでは飲水量に違いがでますし、ドライフードでもその成分の違いによって一時的に水を飲む量が変わることもあります。水を飲む量に関して、今までと比べて急な変化があった場合には獣医師に相談しましょう。

すぐに食事を切り替えなければならないときは

前に食べていたフードがわからない場合や、単に手に入れることができない場合もあるかもしれません。そのようなときは新しいドッグフードを2~3時間おきに少量ずつ与えてゆっくり慣れさせ、食間に何かトラブルのサインが見られないか注意して観察します。必要に応じて、最初から消化吸収されやすいドッグフードを使って始めるのもいいでしょう。それに慣れたら、好みのブランドや種類のドッグフードに徐々に切り替えはじめます。

人間もそうですが、新しい環境や生活というのはいい意味でもマイナスな意味でも心身ともにストレスがかかるものです。犬でも慣れ親しんだものに安心感を抱きますし、慣れは気持ちだけではなく体にも影響します。意識しなくても、少しずつ慣れることによって体は徐々に順応していきます。新しく迎えた愛犬も、新しい環境の最初の数日を慣れた食事をきっかけにスムーズにスタートできれば、すぐに慣れて新しいお家でもうんとくつろぐことができるでしょう!

Jean Marie Bauhaus Jean Marie Bauhaus

ジャン・マリー・バウハウスは、オクラホマ州タルサ出身のペットペアレント、ペットブロガー、小説家です。膝にのったたくさんのペットの監視下で執筆を行っています。