人間だったら、どこか痛かったり体調が悪かったりしたら、その症状に応じた痛み止めだったり胃腸薬を使ったりしてなんとか自分で対処することができます。でも、犬の場合はそうはいきませんよね。昔から犬は痛みに強い、なんていう話もありますが、愛犬がどこか痛いと感じているなら、何とかしてあげたいものです。ここでは、犬が痛みを感じている時のサインや、気づいたときにできることをご紹介します。

もしかして痛い?犬の痛みのサイン

怪我などの急なトラブルの場合には、突然"キャンッ"と鳴いたりして、わかりやすく教えてくれることもありますし、犬の性格もいろいろなので、ちょっと大げさにアピールするワンちゃんもいることでしょう。もちろん痛みの程度にもよりますが、やはり多くの場合で犬は痛みや違和感があっても、じっと我慢して痛みを表に出さず、周囲に伝えようとしないことがほとんどかもしれませんね。次のような変化は、犬の痛みや違和感のサインである可能性があります。

  • 活力の変化:元気がない、または、逆にじっと座っていることができない
  • 引きこもりがちになる
  • 呼吸の変化(いつもパンティングしていたり、通常より呼吸が早く浅くなっている)
  • 食欲や飲水量の低下
  • 体の同じところをずっと舐めている
  • 心拍数の上昇
  • 抱き上げた時や触ろうとすると咬みつこうとしたり、うなり声を上げる、あるいは鳴く
  • 動きの変化(急に階段を昇りたがらなくなる)

愛犬の変化にいち早く気付けるのは、いつもそばにいる飼い主さんだということを、忘れないでくださいね。

気付いたら、まずは獣医師に相談を

このような様子の変化に気付いたら、必ず動物病院に相談しましょう。その変化の原因を探ってもらいます。受診の際には、いつから様子がおかしいのか、どんな風に様子が変なのか、など状況を説明できるように準備しておくと、診断にとても役立ちます。外傷や骨折など、明らかな異常が見つかる場合もあれば、すぐにはわからない原因が隠れていることもあります。犬の痛みの原因となる疾患には次のようなものがあります。

  • 関節炎
  • 骨の腫瘍
  • 膝蓋骨の脱臼
  • 膵炎または胃炎などの消化器疾患
  • 歯周病
  • 尿路結石
  • 耳の感染症

犬の痛み止めについて

痛み止めにはいくつかの種類があり、その用途によって使い分けされます。犬の関節炎の痛み止めとして一般的に獣医師がよく処方する薬剤には、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)があります。これは、人の頭痛薬や解熱剤で使用されるイブプロフェンやアスピリンといった薬剤の仲間です。PetMDによると、NSAIDsは犬が感じているかもしれない痛みや腫れ、こわばりといった関節の不快感を和らげるのに役立ちます。犬用に開発されたNSAIDsにはカルプロフェン、デラコキシブ、フィロコキシブ、メロキシカムなどがあります。ただし同じNSAIDsといっても、人用の医薬品には犬に毒性を示すものがあるため、人間用の鎮痛薬は愛犬には絶対に与えてはいけません。まずは獣医師に相談しましょう。米国食品医薬品局(FDA)は、NSAIDsの副作用のサインとして覚えやすい「BEST」の頭文字を使って、次のように説明しています。

  • Behavior:行動の変化
  • Eating:食欲の低下
  • Skin:皮膚の赤みや発疹
  • Tarry:タール状便や下痢、嘔吐

これらの症状のいずれかが認められたら、投薬を中止し、すぐに獣医師に相談しましょう。

関節の痛みには栄養管理も重要

関節炎や膝蓋骨脱臼などの場合、痛み止めは大事な治療の1つではありますが、長期的に痛みを緩和して管理するためには、栄養的なことも考慮したいものです。ハフィントンポストのDonna Solomon獣医師によると、オメガ-3脂肪酸が豊富に含まれているドッグフードが、関節の炎症による痛みの緩和に役立つ可能性があります。つまり、食事が痛みを和らげるのに役立つ可能性があるのです。

また、しっかりとした体重管理の実施も、痛みの緩和に役立ちます。肥満は痛みを伴う関節のトラブルが悪化する原因になりますし、さらに糖尿病や心臓病などの疾患のリスクも高まります。愛犬に減量の必要がある場合は、ヒルズ サイエンス・ダイエット「減量サポート」など、健康的な減量のために特別に設計されたドッグフードを試してみるとよいでしょう。

さらにもう一つの方法は、理学療法です。理学療法は、運動機能の回復や維持を目的に行うものですが、外傷からの回復や関節炎における不快感や痛みの緩和に役立つことがあります。理学療法について動物病院に問い合わせてみるとよいでしょう。

絶対にやってはいけないこと

愛犬に痛みがあると気付いたら、飼い主としてはすぐに何とかできないかと、人間用の薬で使えるものがないか・・・、と考えるのはごく自然な感情でしょう。でも、繰り返しになりますが、たとえ同じ非ステロイド系のグループの痛み止め(NSAIDs)でも人用の製品は犬にとっては非常に危険なことがあります。犬に必要とされる用量が人間の場合と大きく異なっていたり、医薬品の代謝方法や能力が犬と人では異なる場合があるためです。たった1錠が重大な医療問題を引き起こし、死に至ることさえあります。

そのため、獣医師に相談せずに痛み止めを与えることは決してしないでください。愛犬の健康状態をよく知るかかりつけの獣医師は、症状に合った適切な医薬品を処方してくれます。

そして、愛犬のことを一番よく知っているのは飼い主さんです。何かがいつもと違っておかしいと感じたら、自分の勘を信じましょう。そして、犬は痛みのサインをわずかしか表に出さない場合があることも覚えておきましょう。動物病院を受診することが最も確実で犬にとっても安全な方法です。

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スタッフ著者

この記事は私たちのスタッフライターの一人が執筆しました