子犬でも成犬でもシニア犬でも、家庭や社会で幸せに暮らしてくために、マナーを教えることは大切なことです。しつけ教室は、こうしたマナーを犬が学ぶだけではなく、飼い主の方が犬のしつけ方を学ぶ場でもあります。このようにしつけ教室では飼い主が愛犬とより上手に付き合えるようにサポートしてくれますが、この学びには、犬自身の安全を守るという意味でも非常に重要なスキルを取得することも含んでいます。ここでは「しつけ教室に期待できること」をご紹介していきます。

一般的なしつけ教室の内容

しつけ教室では犬の年齢やスキル、飼い主の希望に応じたレッスンのクラスを設けています。アメリカンケネルクラブ(AKC)によると、アメリカの犬のしつけ教室は一般に、5カ月齢未満の犬のための子犬クラスと、5カ月齢以上の犬のための成犬・シニア犬クラスに分けられています。子犬(パピー)クラスでは、人や犬、環境などに慣れる社会化、トイレトレーニング、飛びつかずに正しく人を出迎える方法、リードを着けた散歩の仕方などに重点的に取り組み、「おすわり(sit)」、「おいで(come)」、「放して(leave it)」などの基本的な号令の練習も行います。

次のステップでは、良いマナーを身につけること、家庭のルールを学ぶことに重点が置かれます。また、「おすわり」「おいで」「放して」という号令のほか、「まて(stay)」、「ふせ(lie down)」、リードを着けて散歩するときの「ついて(heel)」といった少し高度な号令も学びます。

しつけやトレーニングのメリット

A group of dogs sitting near their trainers in a dog school.
しつけやトレーニングは、飼い主と愛犬にたくさんのメリットをもたらしてくれます。その一つが家族にとって望ましい行動をするようになってくれること。幼い頃から適切に社会化やしつけを進めていれば、人に飛びついたり、過剰に吠えたり噛んだりする問題を防ぐことに役立ちます。良いマナーを学ぶことで成犬の困った行動を直していくことにも役立つ、とAKCは言います。そしてそれ以上に重要なことは、愛犬をけがや事故から守ることができるということです。呼ばれたら来る、指示されたら待つ、くわえたものを放すといった号令は、日常生活の中で起こる可能性のある様々な事故を防ぐために必要なスキルでもあります。

もちろんトレーニングは愛犬だけががんばるわけではありません。スキルの習得には飼い主も一緒に取り組むことが重要です。一緒に学ぶことで互いの信頼感や親愛感が深まり、絆が強まります。さらにしつけ教室への参加は、他の飼い主と知り合うための素晴らしい方法でもあります。互いに良いマナーを学んで頑張ろう!というモチベーションも得られますし、新しい友人をつくったり、飼い主同士ならではの楽しいやりとりができる場になるでしょう。

トレーニングは有効?

トレーニングの有効性はいくつかの要素に左右されます。トレーニングの精度の高さや習得の早さには、犬種や気質(犬が生まれもったもの)が影響すると考えられているからです。たとえば、頑固な犬や活発な犬は、のんびしていて人を喜ばせるのが好きな犬よりも多くの時間、努力、忍耐が必要になるでしょう。また、年齢も影響することがあります。たとえば、集中力が続かない子犬の場合は、もっと大きくなって落ち着いてからトレーニングを始めたほうが教えやすいかもしれません。

とはいえ、何と言ってもトレーニングの有効性に最も影響する要素は飼い主です。しつけ教室で学んだことを生かすには、教室で行う1時間程度のレッスン以外にも、愛犬と一緒に自宅での自主練習が必要になってきます。また、家族全員が協力して決めたルールを守ることも重要です。たとえばお母さんの希望で「ソファに犬を乗せない」というルールをつくったら、家族も一貫して犬をソファに乗せないようにしましょう。お父さんや子どもが犬をソファに乗るように誘ったら、トレーニングが台無しになってしまいます。「今日だけは特別」というルールを犬は理解できないので混乱してしまいます。また、Petfinderは、問題行動を強化しないように注意が必要だと指摘しています。飼い主は無意識に犬が問題行動をするように仕向けてしまうことがあるのです。たとえば犬がクンクン鳴いたときになだめたり、過剰に吠えたときに注意を向けたりするのがその一例です。しつけ教室の外でも正しいしつけやトレーニングを行い、家族が一貫した態度でマナーを守りましょう。犬に教えた望ましい行動を正しく強化して、確実に身につけてもらうための重要なポイントです。

愛犬のトレーニング:自分でできる?

Girl holding a treat in her hand as her husky looks up in anticipation.
愛犬に望ましい行動を教えるしつけやトレーニングの選択肢は、しつけ教室だけではありません。犬のしつけ方に役立つ本、ウェブサイト、動画などは数え切れないほど存在します。これらの利点の一つは、飼い主がさまざまなトレーニングの方法やスタイルをミックスしたり修正したりして、家庭と愛犬に一番合っている方法を見つけて、オリジナルのカリキュラムを作り上げることができること。しつけ教室へ定期的に参加するのがスケジュールや居住地の都合によって難しい場合には、自宅でやってみるのも一案です。また、愛犬の気質や年齢を考えて、もっとカスタマイズされたトレーニングをしたいという場合にも便利です。正しい知識を身に付けることができれば、しつけ教室で学ぶのと同じスキルを愛犬に教えることができます。

しつけ教室には通うことができないけれども、専門家に助けてもらいたい時には、個人レッスンや訪問レッスンを受けつけているドッグトレーナーに頼むのも良い方法です。自宅に来て飼い主の悩みや愛犬に適した教え方で、犬とのより良い関係を築けるようにサポートしてくれるでしょう。飼い主のスケジュールに合わせてレッスンを組むプログラムを提供しているしつけ教室やペットショップもあります。

しつけ教室に通うには歳をとりすぎている?

「老犬は新しい芸を覚えない(老い木は曲がらぬ)」ということわざとは裏腹に、犬は歳のせいで新しい号令やスキルを覚えられない、ということはありません。トレーニングによって新たな刺激を得ることは、高齢の犬にとってもやりがいや楽しみにつながり、子犬や成犬以上に多くのメリットを得られるでしょう。心身に無理のない範囲で取り組むことが大切なので、一度動物病院に相談してみましょう。

シニア犬の訓練が難しいとされる理由のもう一つは、望ましくない行動が何年にもわたって(もしかしたら十年以上)、強化されてきているという事実です。これはしつけやトレーニングが不可能という意味ではないものの、教え直すには多くの時間と忍耐が必要になる可能性があります。シニア犬の訓練について覚えておかなければならない大切なことは、飼い主の希望や目標があっても、愛犬の心身の状態に合わせて目標の下方修正が必要になることもある、ということです。

愛犬の年齢、犬種、気質を問わず、良いマナーを身につけさせたい、安全を守りたいと思ったら、しつけ教室への参加を検討してみましょう。愛犬と共にしつけやトレーニングを受けることで、犬に関する困り事が減り、愛犬との生活を純粋にも楽しめるようになります。トレーニングというと我慢が必要なもの、という印象があるかもしれませんが、そんなことはありません。犬と飼い主と心を通わせる時間でもあり、犬たちはレッスンを楽しい時間だと認識します。飼い主がトレーニングに取り組むほど、愛犬のマナーはどんどん良くなりますし、絆もますます強くなります。今まで以上に愛犬の魅力が引き出され、犬との暮らしがもっと楽しくなることでしょう。

Jean Marie Bauhaus Jean Marie Bauhaus

ジャン・マリー・バウハウスは、オクラホマ州タルサ出身のペットペアレント、ペットブロガー、小説家です。膝にのったたくさんのペットの監視下で執筆を行っています。