シニア犬を迎える理由

執筆: ケイティ・フィンレイ
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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動物保護施設(自治体の動物愛護センターや民間の動物愛護団体)からシニア犬を迎えることは、新たな家族やパートナーを探している方にとって魅力的な選択肢の1つです。やんちゃな子犬よりもシニア犬の検討をおすすめする理由をいくつかお伝えしましょう。もちろん子犬はとてもかわいくて、とても楽しい存在ですし、おそらくシニア犬よりも長く一緒に過ごせるはずです。子犬を迎えることを否定する理由はありません。しかしシニア犬ならではの特性を見過ごして、家族に迎える選択肢に入れないのはとても残念なことです。何よりも愛犬家としては、シニア犬に終の棲家を与えてくれる飼い主さんが増えてくれたらうれしいですね。

気質

シニア犬の最も大きな特性の1つは、すでに身体的にも精神的にも本来の姿に成長しきっていることです。保護施設で見せる行動は本来の行動とは少し違うかもしれませんが、ほとんどのシニア犬は個性をある程度見極めることができ、どんな犬かをきちんと知った上で迎えることができます。たとえば猫が好きか、子どもたちとうまくやっていけるか、ときには留守番ができるか、どのくらいの活動量が必要か……といった情報もわかるので、迎えた後のミスマッチを防げるのが利点です。じつは譲渡された子犬や若齢犬が再び保護施設に戻される主な理由の1つは、引き取った人が成長後の姿を理解していなかったこと。シニア犬なら家に連れて帰った後の暮らしを想像できます。

しつけ

保護施設にいる多くのシニア犬は、もともと家庭で暮らしていたけれども、さまざまな理由で飼い主に飼育放棄されたという事情があります。ブリーダーのもとで繁殖に用いられていた犬もいます。残念ながら一部の人たちは、引っ越しなどの理由があって愛犬を手放すとき、シニア犬に新しい家庭を見つけてあげる方法を知りません。そのため多くのシニア犬が保護施設に入れられることになるのです。ただ、ほとんどのシニア犬は、すでに十分にしつけをされているか、ほんの少しのしつけだけで新しい家庭になじんでくれます。このような犬たちは家庭で暮らしてきた経験があり、ある程度のルールとマナーを身につけているからです。おそらく新たな家庭に順応するのはそこまで難しいことではないでしょう。

たとえば、家庭で暮らしていた多くのシニア犬はある程度はしつけられていて、飼い主と歩調を合わせて散歩できますし、家具を噛んだりキッチンに入っていたずらをしたりすることも少ないでしょう。シニア犬がそれまで過ごした環境によりますが、ある程度は社会化もされています。家庭に迎えた後は2~3週間ほどの順応期間が必要かもしれませんが、子犬や若齢犬に教えておくべきことは大抵身につけています。一方、子犬にはあらゆることに関するしつけやトレーニングだけでなく、粗相の片付けなどの日常の世話も必要です。とてもかわいいけれどマナーはゼロ状態ですし、子犬のやる気をいたずらに向かわせないようにする工夫も必要になります。そもそも新たな人間の家族とは?どのように暮らしていけばいい?といった基本的なことから、飼い主が子犬にわかりやすい方法で教えなければいけません。成長途中の子犬に比べると、シニア犬が順応に要する時間は短期間で済むことも多いのです。

シニア犬はすでに家庭での生活になじんでいることが多いため、初めて犬を飼う人にはうってつけのペットになりやすい一面もあります。まだ身につけていないと思われるスキルについては、基本的なトレーニングから始めなければならないこともありますが、その量は子犬ほど多くないはずです。子犬に必要な圧倒的な世話や注意がいらないので、シニア犬を引き取ることはペットの飼い主になるためのハードルを下げるのに役立つのではないでしょうか。

公園でテニスボールを咥えて走るジャーマンシェパード。

運動

シニア犬といえども運動が不要というわけではありません。運動はすべての犬に必要です。運動は心と体の健康を保ち、刺激不足で現れがちな多くの望ましくない行動を抑えてくれます。とはいえ、シニア犬に必要な運動量は子犬や若齢犬よりもかなり少なめです。子犬は常に、たとえ遊び時間でないときでも、がむしゃらに動き回り続けます!飼い主の多くは子犬がトラブルに見舞われないように、出かけるときにはクレート(サークルやケージ)に入れておかなければなりません(そのため、クレートトレーニングも子犬に教えるべきスキルの1つなのです)。

ただし、これはシニア犬が楽しく運動することを好まないという意味では決してありません。ほとんどのシニア犬は活動することが大好きです。多くの犬は成犬になって歳を重ねると、それほど多くの運動を必要としなくなるというだけで、実際は驚くほど活発で敏捷です。シニア犬の心と体を刺激し続けるには、1日1〜2回の散歩、お気に入りのおもちゃを使った遊び(引っ張りっこやボール投げ)、嗅覚を使うノーズワーク(宝探し)がおすすめです。ときにはドッグランや水泳を楽しむのもいいでしょう。PetMDは、成熟した犬はかつてほどのスタミナを持ち合わせていないので、おそらく遊び時間を短くする必要がある、とアドバイスしています。

シニア犬は家族と一緒の時間も大好きですし、お気に入りのベッドやひなたぼっこができる場所に落ち着いて過ごす時間も大好きです。家族からの注意や世話を子犬ほど必要としないシニア犬は、少しのんびりしている人や、ソファで一緒にくつろぐペットを探している人にもってこいの選択肢です。シニア犬を迎えてからの暮らしは、「犬と穏やかに暮らしたい」と思っていた人たちの希望とぴったり一致するはずです。

獣医療的ケア

シニア犬には子犬や若齢犬よりも多くの獣医療的ケアが必要になると思われがちですが、実際はそうとも限りません。保護施設にいるシニア犬は歳を重ねているけれど健康で、ただ家庭と呼べる場所を必要としているだけなのです。また、すでに避妊・去勢手術を受け、ワクチン接種も済ませています。持病を抱えたシニア犬もいますが、譲渡の際には必要な治療やケアについて説明してもらえます。米国獣医師会によると、子犬には感染症や病気を防ぐための数種類のワクチン接種が必要ですが、シニア犬がそれらに罹患する確率は非常に低いといえるそうです。子犬には危険な病気にもかかりにくくなっているわけですね。シニア犬はそういった意味ではすべて済んでいて、あとは終の棲家を待っているだけなのです。

栄養面のケア

シニア犬を迎えようと考えているなら、どんな食事を与えるかについても必ず検討するようにしてくださいね。シニア犬の栄養要求量は若齢犬とは異なるため、ライフステージに合ったドッグフードを選ぶことが大切です。

脳の機能やエネルギーと活力、免疫系と消化器系、そして被毛のサポートなど、シニア犬のニーズに合うように考えられたフードを選びましょう。活動、交流、運動能力の向上を通じて活力維持をサポートすることを念頭に、犬のニーズに合わせて特別に設計されたヒルズ サイエンス・ダイエットプロ シニアトータルケア機能のようなドッグフードを検討してみてください。

これから迎えようと思っている犬がシニアに達しているかどうかわからないときは、人間に当てはめると何歳になるかがわかる便利なツールを使うといいでしょう。

生涯続く愛情

シニア犬を迎えることは、家族のライフスタイルにぴったり合う性格の犬を選択できるのが大きな特長です。シニア犬を愛犬にすることには以上のような多くのメリットだけでなく、犬の老後にあたたかい終の棲家を与えることができ、愛犬家として最高の喜びももたらしてくれるはずです。

寄稿者略歴

ケイティ・フィンレイ

ケイティ・フィンレイ

 

カリフォルニア州ロサンゼルス在住のドッグトレーナー兼ライター。6年以上前から犬とその飼い主に、直接会って、またはオンライン記事を通じて働きかけています。

 

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