猫の睡眠習慣まるわかりガイド

執筆: クリスティーン・オブライエン
所要時間:

さあ、寝よう!と思ったら、ドタバタと運動会が始まったり、夜食のおやつを要求してみたり・・。やっと眠れたと思ったら、今度は明け方に近所の猫の集会が開催されたり・・と、猫の習性は人間とは反対で夜行性なのかな、と思っている方も多いかもしれませんね。

このように、猫は人間の睡眠リズムをまったく無視しているにもかかわらず、実は夜行性ではありません。猫は厳密には薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)と呼ばれる性質をもっていて、この生物学的カテゴリーは、昼行性や夜行性といった言葉に対して、夜明けと夕暮れに活動のピークが訪れる動物のことを指すとMother Nature Network は説明しています。ウサギのような被食者からライオンのような捕食者まで、多くの薄明薄暮性動物は、砂漠地帯が最も涼しくなる時間帯を巧みに利用するために進化したといわれています。

典型的な薄明薄暮性の行動パターン(長時間休んで、短時間にエネルギーを放出する)を理解すれば、どうしてそろそろゆっくりしようというときに限って猫が最も活動的になるのか、理由がわかるかもしれませんね。

薄明薄暮性動物

アライグマやフクロウなど、本物の夜行性動物は、一晩中活動して、暗闇を利用して狩りを行います。一方で、リスや蝶、人間といった昼行性の生き物は日中に活動します。そして薄明薄暮性の動物は、弱々しい日光と暗闇を巧みに利用して、昼の世界と夜の世界両方のメリットを手にしているのです。

BBC Earth News は、「薄明薄暮性の活動についてよく言われるのが、絶妙なバランスをもたらしているということです。つまり、物がぎりぎり見えるだけの光はありながら、十分に暗くもあるので捕食される危険性が低くなるのです」」と、説明します。たとえば鷹のような捕食者は、たそがれ時には視力が低下するため、被食者である薄明薄暮性の小型の動物たちにとっては襲われる危険性が低くなります。

こういった行動はそれぞれの種の本能によるものですが、彼らが夜行性なのか昼行性なのか、あるいは薄明薄暮性なのかは、それぞれの目の構造が大きく関わっています。薄明薄暮性の動物の中には、猫のように夜行性動物と同じ縦長のスリット状の瞳孔を持つものがいます(猫が真っ暗な部屋の中でも、何の苦もなく人の足先に飛びかかってこれるのはこれが理由です)。

視覚科学専門家のマーティン・バンクス氏は、米国公共ラジオ放送(NPR)で、「縦長のスリットの持ち主は、たいてい待ち伏せ型の捕食者です」と話しています。縦型のスリットには、猫のように、(長い間)じっと待ち伏せしてから獲物に襲いかかるのに「最適な視覚的特徴」を備えています。細長い瞳孔は円形の瞳孔よりも光を取り入れる調節能力が優れ、かつ縦長の瞳孔は縦型に物が捉えやすくなることで獲物との距離感を掴みやすくなるというメリットがあります。夕暮れや夜明け、あるいは、人間がこれからまだひと眠りしようかというときに、猫が飛びかかるような遊び行動をするのも、こうした動物としての行動特性や身体的特徴が関係していると思うと、妙に納得できてしまうのではないでしょうか。

猫の睡眠パターンとは?

猫たちは、生物学的にはたそがれ時に最も活動的になるよう生まれついていますが、中には早朝に活動的になる猫もいます。いずれにしても、猫はこの早朝からたそがれ時までの約16時間をたてつづけに眠り続けているわけではありませんし、一晩中ずっと起きているというわけでもありません。一晩に一回は飼い主を深い眠りから起こし、人間をイライラさせるといった猫の話はよくあるので、「猫は夜行性なのか?」という疑問が湧くのかもしれませんが、そうではありません。

ここで猫の睡眠パターンが関わってきます。猫たちの眠りのパターンは、人間のパターンとは同じではないと、アニマルプラネット は説明します。猫も「ノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)の両方がありますが、人間よりもレム睡眠の時間がずっと長いとされています。猫にとって〈眠る〉ことは〈スイッチを完全にオフにする〉ことを指しているわけではありません。猫はまどろんでいるときでさえ、常に警戒態勢を敷いているのです。ちょっとした物音でも目が覚めて、猫はほとんど瞬時に起きてフルに活動することができます。これは、〈自然界〉で身を守り食べ物を得るために、猫(や野生動物全般)が身に付けている能力です」。たとえば家の中でも、離れた場所でぐっすり眠っているように見えるのに、キャットフード の容器が開く音がしたとたんに駆け寄ってくる、といったことからも、その習性を垣間見ることができます。

猫の持つ狩猟の習性についても、もともと薄明薄暮性の性質と結びついています。飼い猫は狩りをしなくても食事にありつけますが、本能として狩猟の習性が残っています。遺伝学教授のウェス・ウォーレン博士はスミソニアン誌 で、「猫には狩猟の能力が残っており、食料に関してそれほど人間に依存していない」と語っています。猫は、オモチャやキャットフードの粒、猫用のおやつを獲物に見立てて「狩って」いるのです。

パワーナップ(積極的仮眠)

「うたた寝(cat nap)」という言葉があるのには理由があります。成猫には一日に13時間から16時間の睡眠が必要で、子猫や若い猫には20時間の睡眠が必要だとPetcha は説明しています。この休息は「長時間の睡眠」というよりも「24時間サイクルの中での断続的なうたた寝」という意味合いが強いようです。猫は究極のパワーナップを取り、最も活動的になる時間のためにエネルギーを蓄わえているのです。一見すると猫は昼の間ずっと眠り続け、一晩中活動しているように見えるかもしれませんが、実際にはそれとは違ったパターンで生活しています。

猫が突然活発になり活動的になるのは短い時間ではありますが、とても生産性の高いものです。すべての薄明薄暮性動物と同じように、活動的な猫は自分のエネルギーの蓄え方と使い方をよく知っています。猫の本能的な活動的欲求を満たし、活動時間を有効に活用してフルに楽しむ時間にするためには、鈴入りボールを叩いたりネズミのおもちゃを空中に放り上げたりして、エネルギーを放出してとことん遊ぶ必要があるのです。見方を変えると、それはまた家の中で猫がいたずらをしでかす時間でもありますから、夕暮れや夜明けは用心したほうがいいでしょう。飛びつく機会をうかがっているかもしれません。

このように猫が最も活動的になる時間は、猫本来の習性を観察できるチャンスともいえます。30分もの間、こっそり狙いを定めてから最後にぬいぐるみに飛びかかっていますか? まるで今にも飛び立つかのようにおやつを陰からのぞいているでしょうか? カーペットのひだの中に音の鳴るボールが隠されていませんか?これらの行動には猫の動物としての行動が表れています。大型の猫科動物と同じような行動を猫がしているのを見るのは、なかなか面白いものですね。

中には、猫としての本能や種とは程遠いと思わせるほどのゆったりとおおらかなタイプの猫もいますが、どんな猫でもエネルギーを蓄え活動時間をフルに活かす能力に秀でているのは確かです。たそがれ時こそ、可愛い愛猫がいきいきとした姿を見せてくれる特別な時間なのです。そんな風に思えれば、また一層猫との生活が楽しくなることでしょう!

Contributor Bio

Christine O'Brien

クリスティーン・オブライエン

クリスティーン・オブライエンは、ライターであり母であり、家の中を取り仕切るロシアン・ブルー2頭と暮らす長年の愛猫家でもあります。Care.com、What to Expect、Fit Pregnancyでも、ペット、妊娠そして家庭生活について記事を書いています。InstagramとTwitter(@brovelliobrien)でも彼女をフォローすることができます。

関連記事

関連商品