マーク・モーリス・シニア博士
1901年生まれの博士は、臨床栄養学の分野で先見性を発揮した人物です。彼は、特定の健康状態にあるペットの生活を改善するために、栄養学を応用できると信じていました。獣医師の仕事が農場の家畜中心だった時代に、コンパニオン・アニマルとその飼い主を対象にし、1928年、ニュー・ジャージー州エジソンにラリタン獣医科医院を開設しました。同医院は当時、小動物を扱う全米で2つ目の獣医科医院でした。
博士は、コンパニオン・アニマルの疾病管理について新しい考えを持っていました。博士は、ラトガーズ大学生物化学部のジム・アリソン博士と共同で、小動物の疾病診断技術を開発しました。モーリス博士の考え方は新しく、いつも受け入れられたわけではありませんでしたが、まもなくペットフードの権威として地位を確立しました。
自身のペットフードを缶詰にするためにカンザス州トピカのヒル・パッキング・カンパニーの事業に加わったのち、博士は小動物のための慈善団体を設立しました。モーリス動物基金は、小動物と野生生物の研究費および獣医学生の奨学金へ資金を提供し続けています。現在同基金は、コンパニオン・アニマルと野生生物の健康に関する研究のための非営利基金として世界最大の規模を持ち、1948年以来、総額5,000万ドルに達する資金を提供しています。
博士は生涯を通じて積極的に小動物にかかわってきました。アメリカ動物病院協会 (American Animal Hospital Association, AAHA)の初代会長およびアメリカ獣医学協会(American Veterinary Medical Association, AVMA)の会長職を務めました。また、ペットフードの栄養学基準を策定する委員会も主導し、その取り組みは今日のアメリカ飼料検査官協会(Association of American Feed ControlOfficials, AAFCO)が設立される礎となりました。
マーク・モーリス・シニア博士は1993年、92歳で亡くなりました。