犬と猫の体温の測り方

執筆: パティ・クリー獣医師
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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最近、ペットを飼っている方々のペットの健康に対する意識が高まり、以前よりも多くの費用と手間を惜しまないようになってきています。ペットの健康状態をチェックするために、飼い主自身で体温を確認できるということは、その意識の高さの表れでもあります。獣医師としては、もっと多くの飼い主の方々が積極的にペットの健康管理に関わるようになってほしいですし、動物病院はそのためのサポートをしてくれます。

体温を測る理由やタイミング、具体的な方法やちょっとしたコツをご紹介します。犬と猫の体温を測ることはそんなに難しいことではありませんから、まずは自分にできそうな方法を試してみましょう。

ペットの体温を測る理由と体温でわかること

Cay lying beneath pink blanket next to a window with a wintery scene outside.

人間の体温と同じように、犬と猫の体温も全身の健康状態について多くの情報を与えてくれます。これらの動物種の体温は私たちよりも高めですが(平熱が38.5度)、高すぎたり低すぎたりすればすぐに分かります。

メルク獣医マニュアル に記載されているとおり、発熱(39.2度超)は、熱射病、感染症または全身の炎症性疾患のような問題が起こっている可能性を飼い主に知らせてくれます。

一方、低い体温(37.8度未満)は、身体の熱が多く失われすぎていることを教えてくれます。低体温症(寒さにさらされるなどで)を起こしているか、ショック、低血糖、栄養不良、または全身に及ぶその他の重症疾患の影響が現れている可能性があります。

出産が近くなったときにも体温が少し下がることがあります!

ペットの体温を測るタイミング

ペットの元気がなくウトウトしているとき、いつもよりおとなしいとき、あるいは食欲やその他の普段の行動に変化が見られたときはどんな場合でも検温が役に立ちます。猫に関しては、ほとんどの病気の徴候を隠してしまう ことで有名ですから、とくに当てはまります。ただし、体温の変化を伴わない病気も多くあることを頭に入れておきましょう。そのため、ペットの体調に変化があったとき、すぐに獣医師に連絡してペットの健康相談ができる状況であれば、まずは検温して準備しておきましょう。もしペットの体温を測ったことがない場合には、無理に検温はせずに獣医師に相談するときにその旨を告げてアドバイスをもらいましょう。これは飼い主とペットの両方の安全のためです。

検温は、ペットを獣医師に診せるべきかとその緊急度を判断するのに役立ちますし(体温が上昇していたら必ず直ちに獣医師に連絡するべきです)、獣医師にとっても家庭で測定された体温は非常に役立つ情報になります。

家庭での検温はとても有益なものなので、実際にそれを健康管理指導の一貫として勧めている動物病院もあります。このスキルの習得に興味があれば、獣医師に指導をお願いしてみてください。獣医師は、家庭で安全に検温する方法を教えてくれるでしょう。

犬の体温の測り方

犬の体温を測るのに難しいテクニックは必要ありません。押さえておくべき基本的なポイントは以下の通りです。

Person holding the head of a Jack Russell terrier lying on a deck.

  1. 正しい道具を買う: 動物用の直腸体温計を使用するのが安全で使いやすいでしょう。ヒト用の体温計には様々なタイプのものがあり、ペットにも使用できるものとそうでないものがありますから、わからない場合には獣医師に相談しましょう。また、当然ですがヒト用とペット用を共用は避け、必ず別々にするようにしましょう。
  2. 正しく保定する: ペットに何かの処置を行う場合には、これが一番重要です。何かをしている最中に、動物が動いてしまうことが一番危険だからです。検温についても、二人以上でするようにしましょう。一人がペットの頭をしっかり持って胴体の動きを落ち着かせ、もう一人が尻尾を持ち上げて、体温計を直腸に挿入しやすくします。犬がお座りの姿勢でこの操作をさせないようにするときは、3人目(犬を立った姿勢に保つ人)が必要な場合もあります。犬の気をそらせるためにトリーツやおもちゃを使うのもよいでしょう。ペットがものすごく嫌がったり、安全にペットを保定できそうにないと感じたときは、無理に続けるのはやめ、動物病院でやってもらいましょう。体温は役立つ情報ですが、飼い主とペットの健康や幸福を損ねるリスクを冒してまでやることではありません。
  3. 体温を測る: 体温計を直腸に挿入します(深さは約2.5センチで十分です)。計測部分の端に少量(豆粒大)のワセリンを付けると刺激が少なく挿入しやすくなります。そしてブザーが鳴るまで(またはデジタル表示が安定するまで)待ったら完了です!

猫も基本的には犬と同じ方法ですが、唯一難しいのは、猫におとなしくしてもらうことです。猫は一般に犬より小さく、保定(押さえられること)に抵抗することが多いため、猫の場合には様々な手段を使って猫を惹きつけて、その猫に合う保定方法を試さなければならないかもしれません。うまくいかない時は、かかりつけの動物病院に相談してスタッフに実際にやって見せてもらうとよいでしょう。

ペットの体温を測るときに覚えておくこと

ペットの検温には、まずは適切な道具を持っていることが不可欠です。良くない例としては、ガラス製の体温計は割れて水銀とガラスの危険があり、古い体温計は計測にかなり長い時間がかかることがあります。

ペットの体温を測るときは、直腸からにすることもとても重要です。獣医師としては飼い主さんにはもっと負担の小さい方法で検温してもらいたいところですが、直腸以外の方法では体温の解釈が難しくなることがあるのです。

猫の体温を測るには、猫の保定に時間と辛抱強さが必要になるかもしれません。オンラインの動画などで、正しい猫の保定方法を紹介していたりするものも参考にはなるかと思いますが、やはり一番いいのは、かかりつけの獣医師に愛猫に合ったそのやり方を見せてもらうことです。

ペットには平熱が高め、あるいは低めの子もいるということにも注意が必要です。また、運動後や興奮後は体温が上昇しますし、長期にわたって療養していたり、高齢の場合は体温が低下することがあります。繰り返しになりますが、ペットに体調変化があって検温を行う時には、その結果に応じてすぐに獣医師に連絡して相談できるような準備を整えてから行うべきです。最後に、敢えて何度も言いますが、すべてのペットを、この処置を受け入れるように訓練できるとは限りません。それが引き起こすストレスによる弊害が大きいとき、飼い主の安全が危ぶまれるときは、自宅での検温を無理に行う必要はありません。

筆者紹介

Dr. Patty Khuly

パティ・クリー獣医師

自立的思考、活発なペット保護活動、獣医療への情熱、そしてペットの健康に関する歯に衣着せぬ執筆で知られる、受賞経験もある獣医師。 ウェルズリー・カレッジとペンシルベニア大学獣医学部をともに優秀な成績で卒業。VMD/MBA二重学位プログラムの一環としてウォートン・ビジネススクールでMBAを取得。現在はフロリダ州マイアミの動物病院サンセット・アニマル・クリニックのオーナー。 それだけに留まらず、桁外れの読書家、熱烈な編み物好きで熱狂的なホットヨガファン、音楽マニア、売れない小説家、飽くなき美食家の顔も。犬4匹、数え切れないほどの猫、2頭の保護ヤギ、そして愉快な雌鶏たちとサウスマイアミに居住。 著作は DrPattyKhuly.com と sunsetvets.com に掲載。

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