犬にチーズをあげても大丈夫？

チーズを食べていると、足元から強い視線を感じる・・・。そんな経験をお持ちの飼い主さんも多いことでしょう。人間にとってもいいにおいなのですから、犬たちにとってはたまらないのでしょうね。そんなチーズですが、犬の健康面にとってはどうなのでしょうか。チーズを犬に与えることのメリットや注意点について詳しく見ていくことにしましょう。

チーズのメリット

まず栄養面で言うと、チーズにはカルシウムやタンパク質、リン、亜鉛、ビタミンA、ビタミンB12など、さまざまな栄養素がたくさん詰まっています。ただ、これらの栄養素は我々人間には栄養上のメリットになりますが、人間にとって良いものが、かならずしも犬の栄養ニーズを満たすとは限りません。

一方で、メリットというところで言えば、チーズは多くの犬にとって魅力的な存在ですから、犬のトレーニングツール、あるいは服薬アイテムとしては非常に使いやすいものになります。薬が苦手なワンちゃん、あるいは慣れていない子犬の場合など、少量のチーズに薬を包んであげるとスムーズに飲ませることができます。

チーズを与えることの注意点

チーズにはさまざまな栄養素が含まれていることはお伝えしましたが、この中には人間にとっては問題のないものでも、量が多すぎたりすると犬にとっては消化の負担になったりします。与え過ぎてしまうと、おなかの調子が悪くなったりすることのほか、肥満や膵炎といった健康トラブルにつながる可能性もあります。

まず、牛乳をはじめとした乳製品には、乳糖（ラクトース）が含まれています。犬はこの乳糖を分解する消化酵素（ラクターゼ）が少ないため、牛乳やその他の乳製品を摂取すると、下痢や消化不良を起こしやすいことをアメリカ動物虐待防止協会（ASPCA）が紹介しています。チーズには牛乳ほどのラクトースは含まれていないものの、個体によっては少量でもおなかの調子を崩してしまう場合もあります。

次に、チーズには多くの脂肪分が含まれています。当然ですが、高脂肪の食事を続ければ肥満になってしまうリスクは高まりますし、加えて肥満に関連する別の病気のリスクも高まります。中でも膵炎は、高脂肪食や肥満が危険因子とされているため注意が必要です。膵炎の代表的な症状は嘔吐や下痢、腹痛などですが、重症例では死に至るケースもある深刻な病気です。膵炎は犬種の関連性についても指摘されており、アメリカンケネルクラブでは、膵炎になりやすい犬種としてシュナウザーやコッカ―スパニエルといった犬種を挙げ、こういった犬種では食事内容について注意が必要だと呼びかけています。

チーズの種類によって違う？

チーズには多くの種類があり、すべてが同じように作られているわけではありません。モッツァレラチーズやカッテージチーズは、そのほかのチーズよりも一般的に低脂肪で塩分も少なめであるとされています。また、チーズの中にはさまざまなハーブが含まれていることもあり、すべてではないもののハーブの中には犬にとって有害となるものもあるため、注意が必要です。犬に与える場合には、脂肪分や塩分のほか、含まれる原材料についてもしっかりチェックするようにしましょう。

いかがででしたか？チーズには一般的に脂肪や塩分が多く含まれていること、また乳製品という意味では犬にとって消化しやすい食品ではないことから、与える際にはその種類や量に注意する、というのが相応なところでしょう。ただし、特定の犬種や個体によっては避けたほうがいい場合もあるため、与えてみたい食品がある場合には、まずは獣医師に相談するようにしてください。また、チーズに限らずですが、覚えておいていただきたいのは、通常の食事以外の食べ物（おやつも含む）が、犬の1日のカロリー摂取量の10パーセントを絶対に超えないようにし、与えた分の食事量を減らす必要があるということです。人間と同様に、カロリーの過剰な摂取は体重の増加につながり、さまざまな健康トラブルのきっかけになります。